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原稿用紙四枚ほど。執筆三時間前後。
『箒とハルバード』『機械翼』の世界観です。
プロローグっぽくて話になってませんが、習作だからいいよね! と言い訳しておきます。これで一応主人公たちは少し書き出せたので、なにかしら形にしていきたいところです。ちょっとずつ煮詰めてます。
ちなみに、どうせ色々書くならその煮詰めにこの世界観で色々書けばいいじゃないかと思いまして、タイトルを『クリアスカイ1』としてみました。今後習作でこのシリーズを書く場合はこのタイトルになるかと思います。
『箒とハルバード』『機械翼』の世界観です。
プロローグっぽくて話になってませんが、習作だからいいよね! と言い訳しておきます。これで一応主人公たちは少し書き出せたので、なにかしら形にしていきたいところです。ちょっとずつ煮詰めてます。
ちなみに、どうせ色々書くならその煮詰めにこの世界観で色々書けばいいじゃないかと思いまして、タイトルを『クリアスカイ1』としてみました。今後習作でこのシリーズを書く場合はこのタイトルになるかと思います。
*
「なあ、フジカワ。お前楽しんでるか?」
「交戦中ですよ、戦闘に集中してください先輩」
無骨で簡素な外骨格型アシストスーツを稼動させている青年は、空中静止しながら無数に映写展開した画面を見つめていた。
「だけどよー」
耳元で聞こえる男の声は通信によるものだ。
「俺たちは暴れられて楽しいが、お前はずっと後方だろう?」
切り立った尾根の陰に黒塗りのフレーム姿は浮かんでいる。ニ枚翼のスラスターの出力は最低限で、リアパーツの追加アームラックからキーボードを引き出して叩いている青年の姿は視認しづらい。もし敵が近くを通ることがあっても、余程念入りに哨戒していない限り気付かれないはずだ。
「好きでやってることですから」
青年は画面を流れる情報を処理しながら、戦況を各部隊に流していく。
「作戦を上手く遂行してくれることが、僕としてはなにより嬉しいですよ」
「そういうもんか?」
「そういうものです」
小気味いい響きがひとつ鳴る。確定を知らせるキーボードの打音だ。
「それに」
画面の中、赤の色が一気に青に押されて消えていく。
「敵を罠に嵌めるのって案外癖になります」
自軍を示す青が画面を占有するのを眺めながら、青年はキータイプを続けた。
「あ、そういえば先輩」
「なんだ?」
「さっきから一機だけ動かない敵を捕捉してます。座標送るのでお願いできますか?」
「了解。鼠狩りも仕事のうちだしな」
「助かります」
告げて、一旦音声通信を終了する。
手際良く必要なデータを送信すると、青年は緩く白い息を吐いた。
まだ戦闘自体は終了していないが、局面は終わっている。こちらの勝ちだ。流れを支配するために多くの手を打つ段階は過ぎた以上、青年にできることは少ない。先輩なら残党狩りに参加すればいいじゃないかと言うかもしれないと考えながらも、青年は自身の機体に攻撃力が皆無なのを良く知っていた。
「ん?」
通信を知らせる電子音に気付き、青年は姿勢を正した。
なにか問題でも?
青年の問いが口を出る前に、通信は男の喚きを運んできた。
「おい! なんだありゃ!? むちゃくちゃ速えーぞ!?」
言われて慌てて画面に目を凝らす。
「ったく、俺じゃ追いつける気がしねーわ」
見れば高速で移動する赤がひとつ。敵を示すそれは先程まで停止していた敵だ。
先輩が不意打ちで落とせない相手、か。
「厄介ですね」
自軍の大半は残党狩りの祭りを楽しむために前線にいる。敵はそれとは逆、青年のいる方へと向かっていた。すぐに迎撃に動けそうな味方は少なく、
「追い付ける機体となると――」
その数はゼロだ。青年は参照している自軍の情報に唇を噛む。見知った名前は少なく、最近自軍に加わったらしき面々がほとんどだった。当てにはできない。一応、情報だけは流しながら、青年はキーボードをアームラックへと格納する。同時に視界前部に擬似HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を映写展開。最低限の情報を表示させて、スラスターの制御へと移った。
空中静止から飛翔への可変。
黒のフレームは高度を上げて、敵を迎え撃つ位置へと移動していく。
「こちらで足止めはしてみます」
返答を確認して通信を終えた。
雲を抜けながら、無骨な黒の機体が空を行く。
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