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雑記や本館の更新履歴がメインなブログ
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 書き散らした断片的なプロット群です。
 気が向いたら書くかもしれないですし書かないかもしれません。
 次回は真面目にプロットを練る……予定です。 



その1 魔導技師と魔女

「おい、魔女。飛んでみろ」
「ちょっと無理かな」
 男は小さな魔女を見て何度か瞬きする。
「飛んでみろ」
「だから無理」
 男は黒い魔女を見て何度か首を捻る。
「飛べ」
「無理」
 男は魔女の頭に手刀を落とす。
「はぅあ……。い、いたひ……」
「飛ばないとサンプルが採れないだろうが」
「だって――今日は『伝統』で飛んではいけない日だから、飛ぶのは無理」
「そんな『伝統』はない」
 もう一度手刀。再び手刀。手刀手刀手刀。
「やめて痛いやめて」
「ならば飛んでみせろ」
「わかったからやめて」
 黒い帽子にぼすぼすと打ち込まれる手刀が止まる。
「手間のかかる奴だな」
「暴力反対」
「知らん」
「か弱い女の子になんて仕打ち」
「お前は俺の研究をぶち壊した極悪非道の『魔女』だろうが」
「……そ、それはわざとじゃないジャン」
「いいから飛べ」
 魔導技師の男は酷薄に佇む。
 

その2 世界の終わりに

 ゆっくりと朽ちていく世界を少年は眺めていた。
「君はこれで良かったのかい?」
 猫だか人だか分からないような生き物が、ぷかぷかと浮きながら少年の顔を覗きこむ。
「どうかな」
 終わっていく世界は遠すぎて、細かなところまでは良く見えない。
「良いとか悪いとか、もう関係ないし」
 投げやりな様子で、少年はネコヒトに応えた。
「それに疲れて眠い」
「寝たらダメだよ」
 ずいっと、ネコヒトの顔が近づいてくる。
「終わりまで見ていないとダメだよ」
「だって面白くない」
「それでも見ていないとダメだよ」
「だって退屈」
「……じゃあ、遊んでくるかい?」
「何処で?」
 ネコヒトは壊れかけの世界を指差す。
「誰かいるの?」
「いるよ」
 ネコヒトは口を笑みの形に歪める。
「もうすぐ皆消えちゃうけどね」
「それは困るよ」
 その言葉にネコヒトは首をかしげる。
「だって遊べなくなる」
 少年は口を尖らせる。
「世界が死んだら遊べなくなるのは当たり前だよ」
 ネコヒトは笑う。今度は声を出して笑う。
「君が望んだくせに」
 少年を見ながら、ネコヒトは笑う。


その3 殺戮少女

「さあ、出番だ」
「承知致しました」
 男の言葉に従い、少女の姿をした殺戮人形は前に出る。
「そんな小娘になにが――」
 屈強な傭兵は笑いかけ、そのままの地に伏せた。
「まずはひとり。次はどなたのお相手を致しましょうか?」
 赤く塗れた刃を手に、殺戮人形は微笑む。
「とりあえず、全部だ」
 男の言葉に容赦はない。その意味を解し、傭兵たちは恐慌に陥った。
 戦い慣れた男たちを、少女の薄白い細腕が解体していく。
 刃がひるがえる度に、鍛えられた四肢が切断され、赤の雨を降らせて跳ね飛んだ。
「逃げるだけとは感心致しかねます」
 返り血にそまった顔で、不満そうに殺戮人形は零す。
「マスター、面白くありません」
「お前の感想は聞いていない」
「……失礼致しました」
 解体は続く。
 男と殺戮人形の他に動くものがいなくなるまで、それほど時間はかからなかった。
「全て完了致しました、マスター」
「ああ」
 少女は次の言葉を待つように男をうかがうが、反応は無い。
「マスター」
 男は視線だけで応じた。
「私の相手をしてください」
 少女は血塗れた顔で男を見上げる。
「俺なんかでは一秒ともたないのは、お前も理解しているだろう」
「ですが、私はマスターと戦いたいと考えます」
「俺は自殺する趣味は持ち合わせていない」
「では手加減致します」
「お前は刃物を持ったら加減できないだろう」
「では武器は携行致しません」
「お前は素手でも俺を殺せるだろう」
「ではどうしたらマスターは私の相手をしてくださるのでしょうか」
「今、俺はお前の相手をしてるだろう」
 少女は不思議そうに目を見開く。
「良く理解できません」
「そのうちわかる。行くぞ」
 殺戮人形の赤い手を引き、男は歩き出す。


その4 暗がりで

 非常灯のみの薄暗い十三番通路に男は座り込んでいた。
 周囲の闇が重くのしかかる。
 研究棟が封鎖されてからどれだけ経っただろうか。
 男は出ることのできなくなったこの施設の中で、怯えながら生き長らえていた。
 闇が酷く恐ろしい。
 見えない先にアレがいるのではないかと心が磨耗する。
 電子ロックされた隔壁は開くはずもなく、アレに対抗する術もない。
 そもそもあんな化け物に抗えるはずもないのだと、男は膝を抱えながら思う。
 アレはそう簡単に殺せる相手ではない。
 それは研究していた男自身が良く知っていることであったし、封鎖隔離されている現状を見れば対応策がないことが明白だった。上の連中も対処に困っているのだと、男は自嘲気味に口元を歪めた。
 空調の音だけが低く鳴り続ける。
 アレが逃げ出した原因は誰にあったのか。
 誰にも予測できなかった。
 監視も隔離も完璧だった。
 ――逃げ出すまでは、本気でそう思っていのだから笑えないな、と男は息を吐く。
 アレもいじくりまわされる日々に嫌気がさしたのだろうか。
 再生能力を試す為に何度も体を損傷させたときは、随分と悲鳴を上げていたことを思い出す。
 恨まれているか。
 ひた、とリノリウム床を歩く音がする。
 靴を履かずに歩き回る存在はアレくらいのものだと、何処か冷めた頭で男は考えた。
「殺されても文句は言えないな」
 ひた、ひたと――歩み寄る音を耳に、男は久々に声を出して呟いた。
 非常灯がアレを照らし出す。


その5

 少年は少女と出会う。
 問題を抱えた少女を少年は助けようとする。
 少女は自らの問題を解決できないとして、少年を遠ざけようとする。
 少年はそれでも少女を助けようとする。
 少女もそれを受け入れ、共に問題を解決しようとする。
 だが、少女の問題に、別の要因が加わり事態が悪化する。
 事態を収拾するべく、ふたりは力を合わせて立ち向かう。
 解決したふたりは幸せに暮らす。


その6

 男は賢者と出会う。
 問題を抱えた男は、賢者に助言を請う。
 賢者の答えは酷く分かり辛いものだった。男は落胆し、賢者と分かれる。
 旅の中、男は再び問題と対峙する。
 最悪の事態の中で、男は賢者の言葉を思い出す。
 意味を知り、問題は解決する。
 だが目の前の事態を収拾するには至らない。
 男は後悔することになる。


その7

 生き延びるには解決するしかない状態で、男は事件と鉢合わせる。
 自身の不幸を呪いながら、男は情報を収拾する。
 その過程で協力者の女と出会う。
 事態の最悪さに文句をいう男に、女は狂気とも楽観ともとれる発言を返す。
 事件の真相に近づくと、男は己の後ろ向きな性格から間違いを選んでしまう。
 悪化した事態の中で、協力者の発言が男に力を与える。
 男の意識が変わったことで、事件は解決する。
 男は協力者の女に興味を抱く。


その8 機械の人

 自らを増設し続けた機械の人の体。
 椅子からあふれ。
 部屋からあふれ。
 住む場所からもあふれ。
 ついには世界へとあふれていきました。
 いつしか、大きくなった機械の人の中にヒトが住み始めます。
 機械の人はただただ自らを増設し続けていきましたが、ついに力尽き、その命は途切れてしまいました。
 そこで困ったのが機械の人の中に住んでいた人たちです。
 ずっと動いていたはずの、壊れることの無い街が、どんどん劣化していくのです。
 ヒトは生きる場所を維持するため、機械の人のことを調べ始めます。
 機械の人は、中で生きるヒトのことを気にしていませんでした。
 ヒトが豊かに暮らせていたのは、ただの機械の人の気まぐれだったのです。
 調べれば調べるほど、もう昔の暮らしは取り戻せないことをヒトは知っていきます。
 機械の人の体は朽ち果て、街は消えていきます。
 このままではヒトは全て死んでしまう。
 ヒトは、自らの力で新たな街を作ることを決意しました。
 機械の人を調べたときの知識を活かし、少しずつ力の再現を行っていきました。
 機械の人が朽ち果てた頃、その再現は十分な力となり、ヒトは新たな街を作ることに成功しました。
 ヒトの時代は、こうして始まりました。


その9 騎士と魔物

 国を守る騎士でありながら、魔物の一族を討伐に出た際に剣を止めたどころか、それによって仲間を失う結果となった主人公。
 自分たち人の子と変わらない顔をした相手。
 剣を止めたことは主人公の意思であったが、周囲はそれを傷の為に動けなかったと認識した。
 討伐を追えた後も裁かれることのない主人公。
 精神的に病んでいく中で、主人公は騎士をやめて旅へと出る。
 出奔した主人公は辺境の暮らしを見る。
 そこでは民と魔物の共存が成立していた。
 無論、国に見つかれば討伐の対象になるのだが。
 その現実を見せつけられる中で、主人公の今まで教えられてきた常識の揺らぎが強くなる。
 辺境の村に滞在するなかで、魔物の一族のひとりと交流を深める主人公。
 ある日、その魔物の少女の様子が変化する。
 魔に侵された。そう呼ばれるらしい。
 人の姿から変容し、言葉通りの魔物へ変わっていくのだと少女は主人公に告げる。
 いかに共存している村とはいえ、さすがに、人の姿をしていない相手を受け入れることはできないだろう、と。
 事実、過去に魔に侵された者は村人たちに殺されている。
「言わないでね? 知られたら殺されちゃうから」
 一拍。
「でも、貴方がそうしたいならいいよ」
 魔物は人に害を成す存在。
 殺すべき存在。
 ためらう必要などはない。
 そう教えられ、それが当たり前だと信じていた主人公。
 その考えが、このとき変化する。たとえ魔物の一族であっても死んで欲しくない相手がいる、と。
「俺がしたいようにしていいんだな?」
「……うん」
 主人公は魔物の少女を連れて村を出る。
 魔に侵され異形の片腕をした少女と元騎士のふたり旅。その始まり。

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